先日のことですが、私が担当している医療裁判の期日がありました。争点の整理や立証が困難で、既に4年近くが過ぎている事案です。
医療訴訟というと、専門的で難しい、時間も費用も労力もかなりかかって、しかもそう簡単に言い分が認められないのではないかというイメージを持たれるかもしれません。確かに、医療紛争は専門的な部分が多く、それがために準備に時間がかかったり、協力してくれる医師を探すのが難しかったり…。しかも、それが日頃馴染みの少ない裁判とからんでくるとなおさらです。
また、医師(病院)側としても避けられないであろう事故というのも多数あります。
しかし、医師にミスがなかったという事件は別として、 本来きちんと賠償が受けられるべき人までもが、裁判所での判断を仰ぐことなく請求を諦めざるを得なくなったり、数十万円程度のお見舞金で示談することを強いられているとすれば、それは極めて不幸なことで、法律家による努力がより求められる分野でもあります。
東京地方裁判所の医療集中部(医療裁判を中心に扱う裁判体のことです。)では、一審の裁判を極力2年以内に終結させることを目標としているようです。この目標達成のため、タイムテーブルを期日ごとに作成して裁判の計画を立てたり、争点を整理する表を作成して事件をわかりやすくしたり、また専門委員という第三者的な医師を裁判所に呼ぶなどして、医学的な見解を法廷で尋ねるケースも多くなってきています。
弁護士としても、医療文献を備えるなど、医療に特化する事務所も増えてきました。医療事件は、今後より法曹の努力と発展が求められるべきフィールドと言えるでしょう。
<増井>