物損事故
物損事故において修理費が事故前の時価を著しく超えたときでも、高額修理費は請求できないか?
判例では、「交通事故により中古車両を破損された場合において、当該車両の修理費相当額が破損前の当該車両と同種同等の車両を取得するのに必要な代金額の基準となる客観的交換価格を著しく超えるいわゆる全損にあたるときは、『特段の事情のない限り』、被害者は交換価格を超える修理費相当額をもって損害であるとしてその損害を請求することは許されず、交換価格からスクラップ代金を控除した残額の賠償で足るものというべきである。」とされています。
しかし、車に思い入れのある被害者は納得いきません。その場合は、上記『特段の事情』を主張立証する必要があります。
では、『特段の事情』とはどんなものか? それは①被害車両と同種同等の自動車を中古車市場において取得することが至難である場合であるとか、②被害者が被害車両の代物を取得するに足る価格相当額を超える高額の修理費を投じても被害車両を修理し、これを引き続き使用したいと希望することが第三者から見ても納得できる場合といった事情がそれにあたります。
かなり厳しい要件です。